https://news.yahoo.co.jp/articles/d04e566b997a648837ef2c8bb896b36034724bf8?page=1
総務省が衆院小選挙区の定数是正について「国勢調査人口(確定値)に基づく計算結果の概要」を11月末に発表し、
波紋を呼んでいる。
これまで衆院選挙区画定審議会で議論されてきた、「1票の格差」問題。
人口比を反映した「アダムズ方式」を採用して15都県で「10増10減」の定数見直しが必要であるとしている。
小選挙区が増えるのは、東京都が5、神奈川県が2、埼玉県と千葉県と愛知が1。
減るのは、宮城県、福島県、新潟県、滋賀県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、長崎県で各1となっている。
「これがそのまま採用されてしまったら、どうなるのか。党内争いにも発展しかねない」
自民党幹部はこう言い、苦悩の表情だ。
小選挙区から複数の自民党党候補が手を上げた際の調整は、10月の衆院選でも大きな火種となっていた。
宮城県をはじめ、10の県で定数がそれぞれ1減るとなれば、当然ながら調整が必要となる。
山口県は4つの小選挙区が3つに減る。人口比から、山口3区と4区が中心となり大きく区割りが変更される見込みという。
山口4区は安倍晋三元首相のおひざ元。3区は林芳正外相が参院から鞍替えして、初当選したばかり。
山口2区は安倍元首相の実弟、岸信夫防衛相と大物がずらりと並ぶ。保守王国の山口県は現在、4つの小選挙区すべてを自民党が独占。
それなのに誰か一人が、小選挙区から立候補できない見込みだ。山口県の自民党県議は声を潜めてこう言う。
「前々から予測はしていたが、実際に総務省から公表され現実のものとなった。3区と4区が1つの選挙区という区割りになる可能性が高いとみられている。
つまり、安倍氏か、林氏のどちらかが押し出される。地元では表立って話す人はいません。しかし、ヒソヒソ話では『安倍氏は2度、首相になった。
次に期待できるのは林氏だ』と林氏を推す声があるのは事実」 和歌山県も小選挙区が3から2に減る。和歌山3区は二階俊博元幹事長の地元だ。
現在の和歌山1区は、県庁所在地で都市部の和歌山市が中心でそこは大きく変わらず、和歌山2区と3区で1つの小選挙区となるとみられる。
2区は自民党の石田真敏元総務相の選挙区だ。つまり、二階氏か石田氏か、どちらになるかの調整が必要となる。
「大物の中の大物、二階先生と大臣経験のある石田先生。地元の県連で調整できるレベルの話ではありません。ただ、世耕弘成参院議員が
そろそろ衆院へ鞍替えするのではないかという話もあります。世耕氏が衆院に鞍替えし、二階先生、石田先生のどちらも引退という案を口にする人はいますね。
正直、恐れ多くて、この問題についておおっぴらに話をする地方議員はいませんよ」(和歌山県の自民党県議)
大物議員らの窮地に助け船を出そうとしているのが、細田博之衆院議長だ。
12月1日の毎日新聞は、<細田博之衆院議長は11月30日、自民党の高木毅国対委員長と国会内で会談し、「3増3減」を軸とする法改正などの検討を要請した。
党関係者によると、「3増3減」は細田氏の独自案とされ、東京都2増、神奈川県1増、長崎、愛媛、新潟3県各1減とする内容>と報じている。
細田氏は「選挙博士」と呼ばれるほど、選挙制度、選挙区の事情に精通。
2016年の衆院選改革法案「0増6減」の成立の時も、国会で細田氏が与党側の趣旨を説明した。自民党幹部はこう解説する。
「選挙にはめっぽう詳しい細田氏。国会議員で選挙に関して細田氏と議論して勝てる人はいません。
中選挙区時代から小選挙区になった経緯、背景、事情やご自身と関係のない選挙区までスラスラと話が出てくる。それくらいすごいです。
10減を3減にし、長崎、愛媛、新潟が対象と細田氏が高木氏を呼び出し、案を伝えたことは今後、大きな影響があるでしょう」