ロシアは戦況などに関する報道を国内で大幅に規制し始めた。
一方、ウクライナはSNS(ネット交流サービス)などを通じて積極的に情報発信する対照的な戦術を取っている。
情報戦、心理戦では巨大IT企業も鍵を握る。
「我が国に対して未曽有の情報戦が仕掛けられている。これに見合った厳しい法律が必要だ」
ロシアのペスコフ大統領報道官は5日、露軍に関する「虚偽の情報」流布などに罰則を科す改正刑法などが
4日に成立したのを受け、そう意義を強調した。
プーチン大統領が署名した改正刑法などでは、露軍の活動について当局の説明に反する「明らかな虚偽情報」を広めた場合、
最大で禁錮3年、罰金150万ルーブル(約140万円)の刑が科せられ、「重大な結果」をもたらした場合などには禁錮は最大15年、
罰金も最大500万ルーブルまで引き上げられる。露軍の信用を傷つけるような活動にも最大で禁錮5年を科す罰則が設けられた。
ロシアの独立系メディアからは「戦時検閲」などと批判の声が上がるが、露国防省の発表を否定する情報を載せてきた
多くの独立系メディアが法成立を受けて過去の記事の削除を余儀なくされている。
改正法はロシア国内で活動する外国メディアにも適用されるため、英BBCや米CNNなどが相次いでロシアでの活動停止を発表し、
ロシアの支局で働く記者の署名を外す動きも広がっている。
プーチン政権はウクライナ侵攻を「キエフで権力を握るナチスト」からウクライナ東部の親露派勢力支配地域の住民を「保護」するための
「特別軍事作戦」と主張。政府系メディアでは自軍の戦果や住民への「人道的支援」の様子ばかりが強調されている。
露通信当局は侵攻を「戦争」や「侵略」などと表現する記事の削除を要求。
ウクライナで広がる民間被害の様子を伝える独立系メディアのウェブサイトを次々とロシア国内で閲覧できないように遮断するなど
圧力を強めている。閉鎖を余儀なくされるメディアも出ている。
https://mainichi.jp/articles/20220306/k00/00m/030/192000c