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これがF1の”新常識”? 街をF1一色に染めるマイアミGPが「ゲームチェンジャー」となる理由
5月6日〜8日に初開催を迎えるF1第5戦マイアミGP。街全体でF1を迎えるこのグランプリがF1にとってのゲームチェンジャーになり得るかもしれない。
F1がアメリカで大成功を収める。数年前まではその言葉に疑問符を浮かべる人も少なくなかっただろう。しかし、5月6日〜8日のマイアミGPに向け、”成功”の2文字が現実味を増してきた。
インディカー・シリーズにNASCAR、独自のモータースポーツ文化を持つアメリカ市場で、ヨーロッパを中心として発展してきたF1は伸び悩み、スポーツとしてファンを惹き付けることに苦労してきた。
しかしアメリカのリバティ・メディアがF1を買収して以降、ソーシャルメディアの積極的活用とそれを通じたファンとの交流、そしてNetflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』の成功により、かつてないほどにアメリカでF1旋風が吹いている。
F1は今年、1984年以来初めてアメリカで2レースを開催。オースティンと並びマイアミがカレンダーに加わった。2023年にはラスベガスでのレース開催も決定している今、これまでのアメリカでのF1に懐疑的な見方をする人は少ない。
実際、ドライバーやチーム、F1ファン、メディアだけでなく、セレブやスポンサー、そして地元マイアミからもレースに対する関心は高く、その期待感は他の開催地では見られないレベルにまで高まっている。
マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、マイアミGPが繰り出すモノはこれまでのF1と一線を画するレベルにあると言う。
「これほどのスポンサーとの関わりや活動、ホスピタリティやセレブのリクエストのレベルは、他のグランプリでは見たことがない」とブラウンはmotorsport.comに語った。
「これはマクラーレンを経営してきたこの6年間だけの話ではない。私は20年に渡ってこのスポーツに携わってきたのだ。これ(マイアミGP)はスーパーボウルみたいなモノで、1年で最大のイベントのように感じている」
「スーパーボウルには、全員がその試合を観に来たいと思うだけではない。ハーフタイムショーやパーティ、イベントも全て含まれている。そしてその規模は桁外れだ」
「我々は最大規模のホスピタリティを提供できるチームのひとつだが、そのリクエストは2倍だった。これまでで最大のホスピタリティ・プログラムになる」
これまでのF1では、都心部から数キロしか離れていないところでグランプリを開催しながらも、地元の相乗効果がほとんどないことが多いという罪を犯してきた。しかしマイアミは例外……街がF1一色に染め上げられている。
地元のショップやレストラン、バーがF1人気の”波”に乗り、特設ポップアップストアが街中、特にサウスビーチエリアに出現している。
マクラーレンは、サウスビーチの立体駐車場を利用して「スピードショップ」を開設。フロア全体を貸し切り、F1とインディカーマシン、同社のスーパーカーの展示のほかエンタメを提供する。
しかしそれ以上の最大規模でイベントを開催しているのが、メルセデスのスポンサーで暗号通貨取引所「FTX」だ。
サウスビーチの海沿いのエリア15329平方メートルを「エレクトリック・ビーチ」と名付け、コンサートや展示会、NFTアートギャラリー、ゲームラウンジを備えたエンタメ会場へと変えるという。オーシャントライブでは、メルセデスのF1ショーカーのデモランも予定されている。
このように街の至るところでF1に関係するイベントを開催することで、F1の魅力をサーキット内に留めるのではなく、街全体に広げることを狙っている。ファンは週末をサーキットだけで過ごすだけでなく、その週を通じて、街の至るところでF1を楽しむことができる……まさにスーパーボウルの開催地のような街全体を挙げての”お祭り”状態を作り出そうとしているのだ。
FTXアメリカのパートナーシップ部門の副代表であるルイス・フランジェラは、motorsport.comに対してこう語っている。
「レースを見に行ける人の数は限られているので、スーパーボウルのような雰囲気を創り出すためには、その地域にいる人たちを巻き込む必要がある」
「我々はメルセデスのF1デモカーを、2日連続でオーシャントライブを走らせる。それを見る人の中には、人生で一度もF1マシンを間近で見たことがない人もいるはずだ」