長野県中野市で住民女性と警察官計４人が刃物や猟銃で殺害された事件で、青木政憲容疑者（３１）＝殺人容疑で逮捕＝が、猟銃の一種であるハーフライフル銃を警察官２人に発砲していたことが２９日、捜査関係者への取材で分かった。散弾銃より威力が強く、弾も殺傷能力が高い単発の「スラッグ弾」だった可能性がある。
２人のうち、パトカーの助手席に乗っていた玉井良樹警視（４６）＝警部補から昇進＝には刃物による刺し傷もあったことが判明。銃撃後に車外で刺されたとみられ、県警は青木容疑者に強い殺意があったとみて詳しい経緯を調べている。
県警などによると、青木容疑者は２５日午後４時２５分ごろ、住民女性２人をナイフで相次ぎ襲撃。約１０分後、自宅に戻ってから銃を持って再び現れ、駆け付けたパトカーに運転席側からいきなり発砲し、運転席にいた池内卓夫警部（６１）＝巡査部長から昇進＝と助手席の玉井警視が死亡した。
捜査関係者などによると、銃撃にハーフライフル銃が使われていたことが新たに判明。青木容疑者は至近距離からスラッグ弾２発を発射した可能性があり、弾は２人の体を貫通していた。また、玉井警視には複数の刺し傷があり、これが致命傷になったという。銃撃後に車外で刺されたとみられている。
青木容疑者は２０１５～１９年、県公安委員会から銃４丁の所持許可を受け、ハーフライフル銃１丁、散弾銃２丁、空気銃１丁を所有。ハーフライフル銃は散弾銃に比べて射程が長い上、命中精度も高い。スラッグ弾は主に鹿や熊など大型獣の猟に使われている。
事件では、村上幸枝さん（６６）と竹内靖子さん（７０）が散歩中、青木容疑者にナイフで刺されて死亡した。県警は２９日、４人の死因について、いずれも失血死だったと発表した。（2023/05/30-07:43）
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