中国人を悩ませるレアな名字の文字コード問題(ZDNET Japan)
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb1e143550555f48c2e57181f3ce56cab73166b0
中国では、2023年8月1日に強制力のある国家標準規格「GB 18030-2022」(信息技術中文編碼字符集)が施行される。中国で「強制」という言葉が出ると「また締め付けが強化される」と反射的に考えてしまうかもしれないが、これは文字コードの標準規格を新たに導入するという話だ。珍しい名字などに使われ、既存の文字コードに未登録の漢字に対応しようというものになる。
中国の面積は日本の国土の約25倍で、約14億人の人口を擁している。一部の地域限定で使われている漢字や、少数民族の固有名詞でのみ用いられている漢字もある。文字コードに含まれない漢字を使っている人は約6000万人もいるそうだ。例えば、山東省青島市郊外にシュイユー村という地元ではまあまあ知られた観光地がある。漢字で書くと、シュイが「山」へんにつくりが「色」、ユーが「峪」となる。このように、1文字目は対応する文字コードがないため表現できないのだ。
シュイユー村には、手書きや印刷の看板、地名入りのプロパガンダなどが掲げられている。しかし、青島のメディアはこれまで「山色峪」と表示していた。まるで「深セン」のセンの文字が「土」と「川」で出来ているから「深土川」と書くようなものだ。「山色」を1文字化する文字コードの登録は地元紙の念願で、何年にもわたって「もうすぐ登録される」と報じては結局登録されないというのを繰り返してきた。
印刷の場合は、レタッチツールなどで「山」と「色」をそれぞれ半分の幅に縮小して文字をつなげるという強引な方法で事なきを得ている。これは村の印刷屋やデザイナーの間だけで広まっている技ではない。地元小学校の校長によると、3年生になってPCの授業が始まると、「シュイユー」の漢字を文字コードで扱えないことや、レタッチツールで加工する方法を教えているという。「山色」は地元の子どもにとって最も身近な漢字の一つなので、就学前から当たり前のように書けると報じられている。