ウクライナ軍、南部で前進 クリミアまでロシア軍押し戻す可能性も=外相
ウクライナのドミトロ・クレバ外相はこのほど、ウクライナ軍が南部の前線で領土を奪還しており、ロシア軍をクリミア半島まで押し戻す端緒になるかもしれないとの見方を示した。
「戦略的に重要な」ザポリッジャ州ロボティネ村を解放した後、こうした見通しが出てきたという。
ロシア軍は、ロボティネ村をなお掌握しているとしている。
一方のウクライナ軍は、2014年に不法に併合されたクリミア半島とロシア本土をつなぐ陸の回廊を断とうとしている。
成功すれば、ロシアがウクライナ南部で占領している地域を分断でき、ロシア軍の供給路を複雑化できるという。
両軍のこうした主張は、どちらも独立した検証ができていない。
クレバ外相はパリでフランス大使らと会談した際、「ロボティンの側面を固めた今、我々はトクマクへの道を開き、最終的にはメリトポリおよびクリミアとの行政上の境界を目指す」と語った。
ロシアが占領しているトクマクとメリトポリは、ロシアにとって軍事面でも供給面でも重要な中継地だ。
クレバ氏は、今年6月に始まったウクライナの反転攻勢は続いていると強調。ただし、「非常に困難な」作戦だと認めた。
「前例のない数の地雷原と要塞がある。ロシアのドローンやヘリコプター、飛行機が空を支配している。それでも我々は徐々に成功している」
また、戦闘員31人からなるある部隊が、「文字通り腹ばいいになって、何キロにも及ぶ地雷原をはい回り」、ついには旅団によるロボティネ奪還を可能にしたと説明した。
ウクライナ軍は30日の戦況報告でも、ロボティネの南および南東方面で「成功を収めた」と発表している。
しかしロシア軍は、ロボティネ地域でウクライナ軍による「攻撃を9回撃退した」と主張。南東のヴェルボヴェ村でも反撃したとしている。
南部に三つの防衛線を張ったというロシア政府は、ウクライナの反転攻勢は全くの失敗で、多くの兵士が死んだがほとんど進展はないと、繰り返し説明している。
アメリカの戦争研究所は、「ウクライナ軍はロボティネを確保しながら、8月29日にはロボティネの東側に前進を続けている」と分析している。
ウクライナ軍は、ロボティネ近くにロシア軍が張った最初の防衛線を突破したと述べ、ロシアに占領されているアゾフ海沿岸の町を攻撃範囲に捉えられるよう、さらに南へと進もうとしていると主張している。
しかし、ロシアはここに1キロにわたって塹壕やトンネル、地面に掘られた砲撃地点を構築し、「竜の歯」と呼ばれる対戦車障害物を設置しているとみられている。ロシア側は、これがウクライナのさらなる前進を阻む手助けになると期待している。
ウクライナ政府は、西側の同盟諸国から現代兵器を確保し、強襲旅団を準備してから反転攻勢を開始した。
しかしその進展は遅く、ウクライナとアメリカの司令官の間で、戦術について意見の相違があるとの報道も出ている。
ウクライナはまた、ロシアの空での優位に対抗するため、西側の兵器、特に戦車や地雷除去設備、アメリカ製の「F16」を含む戦闘機などがもっと必要だと述べている。
30日には、ウクライナ北東部でも戦闘が続き、ロシア軍がハルキウ州の戦略都市クピャンスクへの前進を試みている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b9b4061aa4dfc3df1856fdde38a2a040831741f