▼ クリントン大統領(当時)が謝罪

クリントン大統領:
「国を代表して言うべき時がきた アメリカ政府がやったことは恥ずべき行為 ここに謝罪します」

1997年5月、当時のクリントン大統領はアメリカの黒人たちに対し、かつてアメリカ政府が過去40年にも渡っておこなってきた、ある「人体実験」について、公式に謝罪した。

▼ タスキギー梅毒実験

「タスキギー梅毒実験」黒人が多く住むアラバマ州タスキギー市で、戦前の1932年から1972年まで、性感染症「梅毒」に関する臨床研究が行われた。

梅毒の治療を行わなかった場合の症状の進行を長期にわたり観察することが目的だった。

今では治療法が確立されていて重症化することもほとんどないが、当時は、放置すれば心臓、血管、神経まで侵され、死に至る恐ろしい病気だった。
にも関わらず、被験者である600人の黒人たちにはその事実が知らされなかった。

実験に参加すれば食事や医療、必要必需品が無料で与えられるといううまい話に、貧困にあえぐ多くの黒人たちは飛びついた。

彼らは結局、必要な治療も受けられずに、100人以上が死亡。

妻たちにも感染し、20人近い子供たちが先天性の梅毒に感染した状態で生まれてきた。

このタスキギー梅毒実験は、「アメリカの歴史上最も忌まわしい生体実験」と言われている。


▼ NYブロンクスで黒人コロナ患者と向き合う 金原 聡子 医師

金原医師:

「当時ペニシリンはすでに存在していて治療法があったのに、治験対象者にそれを与えずに梅毒でどのような症状が出るかという実験が行われていた」

「自分たちが実験台にされたという不信感が強いのかなと思う」