〈五色のメビウス〉小諸の落雷事故 佐久で20日に追悼の会 犠牲の外国人をしのび共生を考える場に
2021/11/17 20:01 長野県 社会 主要 五色のメビウス

 小諸市の畑で昨年8月、農作業中に落雷に遭って死亡したスリランカ人男性とタイ人女性を追悼する会が20日、佐久市の佐久平交流センターで開かれる。遺族の支援に関わった有志らのグループが企画。日本で暮らす外国人と共生し、悲惨な事故を防ぐ機会にしたい考えだ。

 2人はスリランカ人のヘッティアーラッチゲ・イラン・ドゥッシュマンタ・ダ・シルワさん=当時(34)=と、タイ人のワランヤー・シンジェムさん=当時(29)。2人は日本人事業主の指示で雷雨の中、サニーレタスの苗植えをしていて落雷事故に遭った。

 関係者によると、ヘッティアーラッチゲさんは2019年1月ごろに恋人を残して来日。シンジェムさんは両親や長女らの生活費を稼ごうと同11月ごろ、短期滞在の在留資格で日本に渡り、超過滞在(オーバーステイ)の状態になった。
それぞれ周囲から「イランさん」「オムエム」の愛称で親しまれていた。

 追悼する会を主催するのは「小諸落雷労災事故の犠牲者を追悼する会」。佐久地域で外国人の相談に乗っているタイ人や、事故に関心がある日本人を中心に7月に発足した。
佐久市で日本語指導をしている「サラダボウルの会」も協力し、運営費を集めるため東信地方のタイ料理店など7カ所に募金箱を設置。
当初は2人の命日に合わせて8月下旬の開催を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期していた。

 発起人の一人で労働問題に詳しい小山正樹さん(70)=上田市=は労災保険給付申請を遺族に助言。シンジェムさんの遺族は労災保険給付を申請、受給している。小山さんは「雇用主や地域社会は外国人労働者に対等に接しているのか。私たちの意識を考え直す機会にしたい」とする。

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〈小諸市の落雷労災事故〉 昨年8月22日夕、小諸市柏木の畑でサニーレタスの苗植え作業をしていたスリランカ人男性とタイ人女性が落雷に遭い、その後死亡した。
気象情報会社の調べでは県全体の落雷数はこの日、平年の8月の1カ月分に相当する約8900回に上り、夕方にかけて同市で多発。
小諸労基署は今年2月、労働基準法(労働条件の明示)違反の疑いで事業主の男性を書類送検し、佐久区検が7月に略式起訴、佐久簡裁は罰金10万円の略式命令を出した。

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