【パリ=白石透冴】スペインのサンチェス首相は22日、北東部カタルーニャ州の独立運動を主導して服役中の元州幹部9人について、恩赦を決めた。融和的な姿勢をみせることで、同州でくすぶる独立運動の沈静化を狙う。ただ恩赦決定に対し、右派野党だけでなく、国民からも反発が起きている。

「カタルーニャとスペインにとって最良の判断だ」。サンチェス氏は同日、恩赦決定についてこう述べた。対象となったのは、反乱罪や公金を不正に使った罪などで終身刑の判決を受けたジュンケラス元州副首相などだ。部分的な恩赦という位置づけで、公職には就けないという。

新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、サンチェス氏は対立よりも国の安定を優先すべきだとみて、独立派に歩み寄ったかっこうだ。連立与党は下院で過半数を握っておらず、国政でカタルーニャ州系政党の協力を得やすくしたいとの思惑も透ける。5月に就任したアラゴネス州首相が独立派のなかでも穏健であることも、今回の恩赦につながったようだ。