そのとき、あるトルコ人の女性が、別の人のインタビューに割って入り、トルコで暮らす難民について持論を展開。シリア人もアフガニスタン人も母国に帰るべきだ、全員をトルコに受け入れる余裕はない、と訴えたのです。

この発言に、となりにいた男性も同調します。

「シリア人は俺たちより楽に暮らしている。俺はバナナも食えない。お前たちはキロ単位でバナナを買っているじゃないか」

その場に居合わせたシリア人の女性が反論します。

「私たちは自分たちのお金を払っている。タダでもらっているわけではない」

興奮した女性はマスクをあごの下にずらし、なおもまくしたてます。

「違う。あんたたちには難民支援のためのモノが買えるカードがあるじゃないか」

(中略)

トルコ人とシリア難民のあいだではたびたび衝突が起きていました。

2021年8月、シリア人の男がトルコ人青年を口論の末、殺害する事件が発生すると、現場となったアンカラの住宅街では一部のトルコ人住民が暴徒化し、シリア人の住宅や商店を襲撃しました。

(中略)

車いすで暮らすハッジャールさんは地域に溶け込んで暮らしてきましたが、あの夜は近所の様子は全く違ったといいます。暴徒が通りにあふれ、自宅の窓が投石で割られました。

「あの日は家族と廊下で息を潜めて隠れました。シリアにいる時よりも怖かった」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211118/k10013350901000.html