中学の時に大人しい同級生のAに皆んなで軽いノリでズボンズラしをよくしてた
いつもヘラヘラ笑ってたから喜んでるのかなと勘違いしてたんだわ、ズボンズラし自体は皆んなふざけてやり合ってたし

ある日先生にAが実際の悪戯に「殴られた」とかかなり盛ってチクったのよ
俺と友達が先生に呼ばれたけど事実以外は否定して、ズボンズラしとかは皆んなやってたのでお咎めなし
ムカついたからそれから無視してたまに女子の前でパンツもズラしてみんなで爆笑してた
給食とかは友達いなかったみたいで一人でずっと食べてたのは覚えてる、元々俺たちが唯一話できる人間だったし
それが半年続いたある日学校に来なくなってそのまま不登校になった
少し気になっていたけど部活も忙しく、気がついたら存在自体忘れていた

で、俺も結婚して子供出来て40歳になったある日、家族で歩いてたら、老婆の後ろに俯いて歩くそいつ見つけたのよ
当時嘘つかれたことも不登校になったことも忘れて、ただ懐かしくてそいつに話しかけたら上手く言葉を喋れてなかった
Aの母親に事情を聞いたらそれから25年ずっと引きこもって久しぶりに外に出てくれたんだって
俺なんか凄く申し訳なくなって、その時に持ってた全財産の3万渡して「美味しい物食べてください」って伝えたんだわ
Aは心なしか笑って一言「ステーキ食べたい」って一言だけ呟いた
それを見たAの母親は何故か突然号泣して喜んでて、俺は良いことした実感だけは残った
子供と娘はキョトンとしながら号泣するAの母親の背中さすってたよ、我ながら出来た嫁と娘だね

俺は複雑ながら少し胸のつっかえが取れたような気がした
Aは元々友達いないから俺が原因がは分からないけど、その3万円で美味しい物を食べて欲しい
これがきっかけになるかは分からないが人生を変えるきっかけにしてくれたらと本音で思う