「日本維新の会は革新、共産党は保守」――。一定以上の年齢の人や、ある程度、政治に興味を持っている人にとっては驚くべき認識が、今の40歳代以下では「常識」らしい。
世論調査データなどを分析している遠藤晶久早稲田大准教授に、先日の衆院選の結果を糸口にして、あまりにも奇妙な政治的混線の背景を読み解いてもらった。

「左派」の若者は自民に投票?
――今回の衆院選では、各社の出口調査で、若年層の自民党への投票が目立ちました。やはり、若者は保守化しているのですね。

◆いいえ、その理解は短絡的です。若者(39歳以下)で自らを「左派」と認識する人は、1990年代の10.3%から2010年代の17%へと増えています。
ただし、10年代前半のデータでは「左派」と認識する人も3割程度が自民党に投票しており、当時の民主党とあまり変わりません。
若者の「左傾化」までは、先進国共通の現象なのですが、これほどに「左派」を保守政党が取り込めている例は、それほどありません。

そのうえで、若者の自民支持率は年長世代と大差ありません。ただし、野党支持率は近年、著しく低くなっています。
つまり、若者の選択肢は、事実上、自民と無党派の二択になってしまっている。理由はよくわからないのですが、少なくとも「民主党政権の失敗」の影響はあると思います。
支持政党のある人の方が投票する可能性は高いので、結果として、自民に票を入れる若者が目立つことになるわけです。
ただ、今の大学生以下の世代は、約10年前の民主党政権の印象も薄い。今後、野党のアピールの仕方次第で状況が変わる余地はあるでしょう。

https://mainichi.jp/articles/20211126/k00/00m/010/391000c