マイナンバーカード「持つのが怖い?」誤解なぜ生んだ

 政府がマイナンバーカードの普及に本腰だ。2022年度にほぼ全国民に行き渡らせるという政府目標に対し、実績は約4割。てこ入れに10月に健康保険証利用を本格始動し、カード保有者には最大2万円分のポイントを還元する方針だ。なぜ、普及率が思うように伸びないのだろうか。その理由を探っていこう。

「マイナポイント頼み」にも限界

 マイナンバーカードはICチップ付きで、表面に本人の顔写真と氏名、住所、生年月日、性別、裏面にマイナンバーを記載する。

 取得は任意だが、政府は「デジタル社会のインフラ」として普及を促す。普及率は11月1日時点で39%。マイナンバーカードで手続きすると最大5000円分をポイント還元するマイナポイント事業を20年9月から行い、普及率は1年余りで倍になった。それでもマイナポイントの申し込みは想定の5000万人の半分に満たない。

 政府は、さらに健康保険証や預金口座の登録などで計2万円分を付与する方針だ。だが「ポイント頼み」はすでに限界が見える。

 なぜ普及が鈍いのか。NTTデータ経営研究所が21年6月、20〜60代の約1000人に行った調査では、マイナンバーカードを取得しない人の理由は、身分証明書になるものは他にある▽個人情報漏えいが心配▽なくても生活できる――が30%台(複数回答可)でトップ3だ。

 他の同様の調査でも傾向は変わらない。普及の壁は、情報漏えいの「不安」と、なくても不自由ない「不要」という「二つの不」にある。

https://mainichi.jp/premier/business/articles/20211125/biz/00m/020/004000c