イスラム主義組織タリバンによるアフガニスタンの実権掌握から3か月あまり。
WHOの日本人医師は、公的医療機関の状況は「風前の灯」で、このままの状況が進めば100万人の子どもが死亡する可能性があると警鐘を鳴らします。

WHO北アフリカ地域事務局 危機管理専門官 小玉千織医師
 「保健医療システムが、ほとんど崩壊寸前の状態。特に公立病院ですね。本当に風前の灯という状況」

 危機感をあらわにするのは、WHO=世界保健機関で危機管理専門官を務める、小玉千織医師。2週間程前に現地入りし、病院で視察を続けています。アフガニスタンでは、タリバンの実権掌握後、経済活動が停滞し、アメリカによる資産凍結などの影響で現地の公的医療制度は崩壊寸前だといいます。

WHO北アフリカ地域事務局 危機管理専門官 小玉千織医師
 「今一番緊急に求められているのは医療物資・医療資源の供給、医療従事者たちの給与の支払い。医療従事者たちは患者さんの命を助けたいという思いだけで毎日無償でボランティアで来ている状態。防護服であるとか手袋であるとか、あと医薬品も全く足りていない状況で、医療従事者たちもほとんどが素手で患者さんを治療している状態ですね」

 小玉医師が「崖っぷち」と表現する病院では、燃料も枯渇しているといいます。

WHO北アフリカ地域事務局 危機管理専門官 小玉千織医師
 「電気も燃料も医療物資も自分の給料ももらわず、何も無い中で、近所の木を切り倒して、それを燃料に使ってなんとか病院経営を細々と続けていこうと崖っぷちで奮闘してるところですね。このままの状況であると冬になって一層コロナの状況が深刻になって更なる死亡者が増える。免疫力が落ちた栄養失調の子どもたちが肺炎にかかって次々と死亡していくという状況だけは本当に避けたいところですね」

 重度の栄養失調で入院する子どもの数は後を絶たず、ある病院ではベッドの満床率が200%から300%に達しています。
今後数か月以内に子ども100万人が死の危険に直面するという試算も出ていて、WHOは緊急支援として680億円の支援を国際社会に呼びかけています。

WHO北アフリカ地域事務局 危機管理専門官 小玉千織医師
 「国連に貢献していただいた資金というものは国連のシステムの中で完全に運用して、国民の一番本当に近いところで病院や人々のもとに直接配分されています」

 厳しい冬が目前に迫るアフガニスタン。
多くの子どもたちの命が危機にさらされています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2bd3fba323643d120fd52150425ecb9049a496c7