【独自】立憲民主・屋良朝博議員に秘書給与の「上納」要求の疑い 事務所や党は言及なし 
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立憲民主党の屋良朝博衆院議員が、自身の政策秘書に対し、給与の一部を自らの事務所に寄付するよう強要した疑いがあることが、本誌の取材でわかった。政策秘書に給与の寄付を求めることは法律違反だが、屋良氏本人や事務所、党本部も明確な説明はしていない。

 屋良氏は、2019年4月の沖縄3区の衆院補欠選挙で当選した1回生。立憲関係者は言う。

【独自】立憲民主・屋良朝博議員に秘書給与の「上納」要求の疑い 事務所や党は言及なし 
週刊朝日

筆者:西岡千史
2021/10/13 18:36

立憲民主党の屋良朝博氏/(c)朝日新聞
 立憲民主党の屋良朝博衆院議員が、自身の政策秘書に対し、給与の一部を自らの事務所に寄付するよう強要した疑いがあることが、本誌の取材でわかった。政策秘書に給与の寄付を求めることは法律違反だが、屋良氏本人や事務所、党本部も明確な説明はしていない。

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 屋良氏は、2019年4月の沖縄3区の衆院補欠選挙で当選した1回生。立憲関係者は言う。


「昨年12月、『屋良氏から事前通告なしで突然解雇された』として、党のハラスメント防止対策委員会に対し、政策秘書を務めていたAさんから通報がありました。そのなかで、屋良氏はAさんに対し、秘書給与から10万円を屋良氏側に寄付するよう求めていたことがわかりました」

 Aさんによると、屋良氏から12月10日に解雇通知を受けた。その際、衆院の議院運営委員会が定めた1カ月前の解雇予告通知のルールを守るよう求めたところ、屋良氏は、1カ月後までの雇用期間の継続を認めた。ところが、Aさんに対し、「明日から来なくていい」「1月は働かないのだから、秘書給与の一部の10万円を(屋良氏側に)戻すように」などと言ったという。

 政策秘書の給与の原資はすべて税金だ。そのため、秘書給与を政治家に「上納」させる行為は、国会議員の秘書の給与等に関する法律(第21条の3)で厳しく禁止されている。

 事実関係について屋良氏側に確認を求めたところ、事務所から文書での回答があった。事務所は、Aさんから党に申し立てがあったことは認め、「円満に解決する観点から、退職届を受理」したとし、「その結果、Aさん(原文では元秘書の実名)は2021年1月の秘書給与も満額支給を受けております」などと回答。一方、屋良氏がAさんに対し、秘書給与の一部を戻すよう求めたかどうかについての回答はなかった。

 本誌は、改めて屋良氏に直接電話で秘書給与の還元要求の有無について尋ねたが、「文書で回答しているとおりです」と答えるのみだった。

 党本部にも事実関係について質問書を送ったところ、「党本部として確知している事実関係」として、昨年12月10日に屋良氏からAさんに対し、「当初合意に基づく、明確な契約終了の確認がなされ」た。これに対し、Aさんが党本部に不服を申し立てたため、「党本部の仲裁により、1カ月前の予告に沿った対応を行うこととなり、当該秘書(Aさん)から退職届けが提出された」。「(Aさんには)1月分までは満額支給されているものと把握している」などと回答があった。

 こちらもAさんの退職をめぐる経緯などの説明はあるものの、屋良氏がAさんに給与の一部を戻すよう要求したかどうかについての言及はなかった。

 神戸学院大学法学部の上脇博之教授は言う。

「国会議員と秘書の関係は、強い主従関係にあります。議員から給与の一部を寄付することを求められた場合、秘書が断ることは事実上不可能です。そのため、同法では寄付を勧誘した時点で、違法行為となるよう定めています」

 Aさんは、「その後、要求はなくなりましたが、要求を撤回したとか、その点についての説明はいまだにありません。しっかりとした説明や、謝罪はしてほしいです」と話す。

 立憲が作成した「ハラスメント防止対策ハンドブック」では、「すべてのハラスメント、暴力の根絶に向けて、毅然(きぜん)とした態度で臨む」と書かれている。枝野代表も演説などで「隠さない、ごまかさない、まっとうな政治を取り戻す」と訴えている。

 まずは、足元で起きている問題について、隠さず、ごまかさないでほしい。