判決後に記者会見するジャーナリストの伊藤詩織さん=30日午後、東京都千代田区
 ツイッターに投稿されたイラストなどで名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが「はすみとしこ」のペンネームで活動する漫画家の蓮見都志子さんら3人に計770万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。小田正二裁判長は名誉毀損(きそん)を認定し、3人に計110万円の支払いを命じた。

伊藤詩織さんの名誉毀損認定 元特任准教授に賠償命令―東京地裁

 判決によると、蓮見さんは性暴力を受けた伊藤さんとみられるイラストと「枕営業を仕掛ける」
「試しに大物記者と寝てみた」などの言葉をツイッターに投稿。男性医師と男性クリエイターはこれらの投稿をリツイートした。
 伊藤さんは性被害を受けたとして元TBS記者を告訴し、東京地検は準強姦(ごうかん)容疑について不起訴処分としていた。
蓮見さんはこうした事実を挙げ、伊藤さんの訴えが虚偽だと信じる相当の理由があると主張したが、小田裁判長は「(不起訴の)理由が明確ではないことを踏まえると、
性被害の不存在を認めるに足りる事実とは言えない」と指摘。名誉毀損の成立を認めた。
 またリツイートは、医師やクリエイターの発言や意見と見なし、
「それぞれ責任を負う」と判断。蓮見さんに88万円、他の2人に11万円ずつの賠償を命じた。
 判決後に記者会見した伊藤さんは「蓮見氏のイラストにはまだ苦しく感じる部分がある。判決は大きな一歩だと思っている」と述べた。(2021/11/30-16:19)