【ワシントン=塩原永久、ロンドン=板東和正】新型コロナウイルスワクチンを手掛ける欧米メーカーは、新変異株「オミクロン株」に特化したワクチン開発を視野に研究に乗り出している。

 まず既存ワクチンによる感染防止効果を分析し、新たなワクチンが必要か見極める方針だ。

米ファイザーのブーラ最高経営責任者(CEO)は29日、米CNBCに出演し、世界で蔓延(まんえん)したデルタ株などに対応するため新型ワクチンの開発に着手したものの、既存ワクチンの有効性が確認されたと指摘。その上で、既存ワクチンのオミクロン株への有効性が低いと確認されれば、専用のワクチンを「100日以内に出荷できる」と語った。すでに26日から開発の初期段階に着手していると説明した。

一方、米モデルナのバンセルCEOは、オミクロン株に対する既存のワクチンの効果は従来の変異株に対するものより弱いとの見解を示した。英紙フィナンシャル・タイムズ電子版が30日、伝えた。

バンセル氏は、ワクチンの効果が「デルタ株に対するものと同じ水準ではない」とした上で、有効性は「大きく下がると思う」と予測。「どの程度下がるかは今後のデータを見ないと分からない」と語った。ワクチンの改良には数カ月がかかり、量産は来年になるとの見通しも示した。

ファイザーやモデルナのワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝物質を利用した技術を使い、ワクチンの迅速な開発が可能だ。通常10年近い開発期間を1年未満に短縮した。

一方、米食品医薬品局(FDA)の元首脳は、メーカーがオミクロン株向けのワクチンを開発すれば、当局が迅速な承認手続きを進めるとの見通しを、米テレビで示した。https://news.livedoor.com/article/detail/21278382/