コロナがもたらした「不登校児童21万人」子どもたちへの支援は喫緊の課題

(中略)

 その後に通知した「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」では、「臨時休業等に伴い、やむを得ず学校に登校できない状況にある児童生徒等については、各学年の課程の修了又は卒業の認定に当たっては、弾力的に対処し、その進級、進学等に不利益が生じないよう配慮する」と明記されました。

 これにより、各学校でさまざまな判断がされましたが、休んだ生徒を欠席扱いしない学校がほとんどだったと思います。欠席にならないのであれば、もともと不登校気味の生徒が休んでしまうのは当然でしょう。これにより、不登校が助長され、さらにその状況が見えにくい状態になってしまったのです。

 これまで文部科学省では、不登校を「年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒」のうち、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く)」と定義してきました(令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より)。

 しかし、コロナを理由に休んで欠席にならないのでは、本来不登校として数えられるべき生徒が、不登校にならなくなってしまいます。令和2年度の不登校が19万人とされていますが、実際にはコロナ感染回避のための欠席者2万人も不登校と考えられますので、合計すると21万人もの不登校児童生徒がいるのです。

 そして、こうした不登校の子どもたちのほとんどに、行政からの支援は届いていません。本来ならば、各自治体の教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)が、不登校の児童生徒を指導するということになっています。いわゆる公的なフリースクールです。

 しかし、教育支援センターと同センター所管の機関で相談・指導を受けた子どもを合わせても、合計約19%しかいません(同調査による)。高卒支援会で実態を調べたところ、一度でも相談をしたらこの数にカウントされるので、継続的に通っている児童生徒は、さらに少なくなり、数パーセントしかいないのです。

 どういうことでしょうか。つまり、不登校の子どもたちのほとんどが、何も支援されていないのです。このまま放っておけば、ひきこもりにつながっていきます。長期化すれば8050問題(高齢になった80代の親が50代のひきこもりの子を抱えて生活に困窮する問題)に発展してしまいます。

 東京都では、公立中学校の卒業式を約3000人の生徒が欠席しています。不登校の状態のまま卒業になってしまうのです。この子どもたちはこの後、一体どうなるのでしょうか。放っておいていいのでしょうか。

 これは国家の大きな損失にもつながります。

 こども庁の創設が議論されていますが、中でも、不登校・ひきこもりは喫緊の課題です。ひきこもりの子どもが、将来自律して生活できるようにならなければ、生活保護を受けることになります。財政破綻も見えてきます。子どもたちへの支援がいかに重要かおわかりいただけるでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f80b162ca1bddfeee14afcf0fcb5a23260083dd7