女性部隊27名が全員死亡…北朝鮮空軍「史上最悪」の悲劇

 事故が発生したのは1993年、現場は平安北道(ピョンアンブクト)の价川飛行場である。

 夜間、格納庫に忍び込んだ歩哨が、灯りの燃料にしようと、航空機からジェット燃料を盗んだのだが、
真っ暗で出入口が見えなくなってしまった。そこでライターの火を灯したところ、気化したジェット燃料に引火し、一気に燃え広がったとのことだ。

 慢性的な電力難に悩まされる北朝鮮では、こうした燃料の盗難が頻繁に起きる。空軍では、老朽化した航空機から燃料が漏れ出るため、
下に容器を置いて貯めて置き、回収して夜間の灯りに利用する例もあるようだ。しかしいずれにせよ、極めて危険な行為に違いはない。

 チュ・ソンハ氏によれば、北朝鮮軍ではこうした事故が発生した際、被害の拡大を防ぐため、施設の入り口を封鎖する。酸素の流入を遮断するためだ。
現場が格納庫の場合、航空機が連鎖的に爆発するのを防ぐには必要な措置なのかもしれない。

 問題は、施設の中に人がいようがいまいが封鎖してしまうことで、中に残された人々は死ぬしかない。价川飛行場の事故でもそのようにして犠牲になった人が50人を数えたとされ、
そのうち27人が女性兵士だけで編成された通信部隊の所属だった。現場は悲惨極まりないものだったという。

 またこの事故では、16機ものジェット戦闘機が爆発炎上したという。機種は、北朝鮮空軍の主力であるMIG-21ではないかとのことだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20211201-00270556