【東方新報】「いくら注意してもスマートフォンを手放さない」と言うと、親が子どもをしかる光景が目に浮かぶが、中国では子どもに注意されてもスマホを使い続ける高齢者が増えている。

 2020年3月現在で中国のインターネットユーザーは9億4000万人に上り、そのうち60歳以上は10.3%の9600万人に達している。
「2020年高齢者のインターネットライフリポート」によると、60歳以上の高齢者が1日にスマホを使用する時間は平均64.8分で、10万人強が1日10時間以上利用しているという。

 SNSでは、「昔は午後8時に就寝していた母親が、午前0時になってもスマホで動画投稿サイトを見ている」「祖父がゲームに熱中して、やめようとしない」という子どもや孫世代の書き込みが目立つようになった。
11月11日に行われた毎年恒例の大規模オンラインセール「双11(ダブルイレブン)」では、今年は高齢世代がiPhoneなどのスマホを大量に購入し、若者たちから「お目当ての割引スマホが祖父母(世代)に持ち去られた」というぼやきも出た。

 スマホと高齢者と言えば、つい最近まで「デジタルディバイド(情報格差)」が問題となっていた。中国では日常の支払いはすべてスマホ決済が当たり前となり、「消しゴム1個でもネットで注文する」というほどオンライン経済が浸透しており、スマホをうまく操れない高齢者が社会から取り残されることが懸念されていた。
今もそうした問題は残っているが、スマホに慣れてきた高齢者の「暴走」も目立ってきている。学校や仕事の制約もないため自由な時間をすべてスマホに注ぎ込んでおり、そうした高齢者をターゲットにしたスマホを通じた詐欺的商法も問題となっている。

 中国人民大学(Renmin University of China)社会人口学院の?永愛(Jin Yong’ai)准教授は「インターネット環境で育ってきた若者に比べて、高齢者はインターネットを目新しく感じ、依存症になりやすい。また、スマホのサイトで『有力メディアが報道』や『○○大学の研究』といった見出しが付いていると、内容をうのみにしやすい」と指摘。
「若者のスマホ利用を制限するフィルタリングサービスのように、高齢者が被害に遭わないシニアモードの開発が必要だ」と提言している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/664c82d998d1b1541bc92fa4b3133c490715d5e3