ミユキさん(仮名、30代)が暮らしていた新宿にある脱法ドミトリーの内部(筆者撮影)
https://i.imgur.com/51qmRGp.jpg

30代女性が"夜逃げ"した「ヤバい格安賃貸」の正体

貧困に陥った若者たちの実態に迫る4日連続特集「見過ごされる若者の貧困」3日目の第1回は、
若者の住まいの貧困について、ジャーナリストの藤田和恵氏が迫る

1部屋に8人が暮らすワンルームマンション

東京・新宿駅から歩いて20分ほど。行きかう人々や車の喧騒が次第に遠ざかっていく。
時刻は夜9時を回ったころ、高層ビルの明かりが途切れ、薄暗い住宅街へと入る。
街灯だけでは心もとない道路を宅配ピザ店やコンビニの明かりが照らす。
その一角に目的のワンルームマンションはあった。どこにでもあるレンガ色の5階建ての建物である。

このマンションに暮らすミユキさん(仮名、30代)から市民団体でつくる新型コロナ災害緊急アクションに助けを求めるメールが届いたのは今年5月。
駆け付けた事務局長の瀬戸大作さんにミユキさんはこう訴えた。

「シェアハウスのようなところだと思って入ったら、1部屋に8人も住んでいたんです。
しかも男女一緒。
部屋の持ち主の男がしょっちゅうやって来て、自分はすごい情報網や人脈を持っていて、
やろうと思えば何でもできる、どこに引っ越してもわかると言って脅してくる」

瀬戸さんはミユキさんに家賃を払ったうえで、人目につかないよう荷物を運び出すことを提案。
この日は“夜逃げ”の決行日だった。同アクションの同行取材を続けていた私も手伝うことにする。
https://toyokeizai.net/articles/-/470788
2以降につづく