立民代表に泉氏 建設的な政策で党再生目指せ

惨敗した衆院選の反省を踏まえ、どのように党を再生させるか。政権交代の受け皿を目指すのなら、建設的な政策を掲げて国民の信頼を得ることが不可欠である。
立憲民主党代表選は、泉健太氏が他の3候補を破り、新代表に選出された。泉氏は「国民のために働く政党として、全員の力で歩んでいきたい」と語った。
泉氏は、党員らを含む第1回投票でトップに立ち、国会議員票の比重が高まる決選投票で逢坂誠二氏に大差で勝利した。
代表選で、泉氏は「立民は批判ばかり」というイメージを「政策立案型政党」に転換すると強調した。47歳と若く、党刷新を訴えたことで期待を集めたのだろう。
「普通の安心が得られる社会」を実現すると主張したが、泉氏が目指す国家像や、具体的な政策が明確になったとは言い難い。
論戦が深まらなかったのは、党内の路線対立を避けたいという事情もあったとみられる。
来夏の参院選までに残された時間は少ない。12月の臨時国会や来年の通常国会で、政府・与党と 対峙たいじ しつつ、独自の政策をどうアピールできるかが試されよう。
旧国民民主党出身の泉氏には、左派・リベラル系議員との間で政策を調整し、挙党体制を築いていく力量も必要になる。

立民は衆院選で、共産党と共闘を進めたが、議席を減らした。参院選に向け野党共闘のあり方をどう見直すのかが喫緊の課題だ。
泉氏は共産党との共闘には「国民の中に抵抗感があった」と述べ、修正することを示唆している。支持団体の連合も、共闘に批判的だ。早急に今後の方針を取りまとめ、丁寧に説明してほしい。
日本維新の会や国民民主党に政権批判票を奪われたのは、経済や社会保障など国民の関心の高い分野で、前向きな改革案を示せなかったのが一因ではないか。
野党共闘を重視した枝野前執行部は、安全保障関連法の一部廃止や沖縄県の米軍普天間飛行場移設工事の中止を掲げてきた。
だが、北朝鮮や中国が軍事的挑発を強める中、日米同盟を不安定にしかねない政策では、多くの有権者の支持は得られまい。
「現実的な安保や外交」を綱領に掲げる以上、それを推進するための具体的な政策を論じてもらいたい。
政権交代の可能性が乏しければ、政治から緊張感が失われる。立民は風頼みの姿勢を改め、地方組織を抜本的に強化するなど、党再建の方策を検討すべきだ。

https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20211130-OYT1T50309/