米財務省、為替報告書を公表 「操作国」認定なし

 米財務省は3日、主要貿易相手国の為替政策を評価する「外国為替報告書」を公表した。制裁対象となる「為替操作国」の認定はゼロだったが、中国や日本など12カ国を通貨政策への警戒が必要な「監視国」とした。

 前回4月の報告書に続いて監視国リストに掲載されたのは、中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、アイルランド、インド、マレーシア、シンガポール、タイ、メキシコの11カ国。今回は新たにスイスが加わった。

 報告書では、中国について「主要国のなかで特に為替政策の透明性が欠如している」と明記し、今後の政策を注意深く監視するとした。また、ベトナムと台湾は「為替操作国の認定基準を満たしている」と指摘したが、ベトナムについては為替政策改善の取り組みを評価し、台湾については為替政策への「関与」を継続するとして為替操作国の認定を見送った。

 為替政策報告書は、財務省が主要貿易相手国の為替政策を調査し、半年ごとに議会に提出する。
「為替操作国」の判断には、
▽対米貿易黒字が年間200億ドル(約2・3兆円)以上
▽経常黒字が国内総生産(GDP)比で2%以上
▽一方的で継続的な為替介入――の三つの基準があり、すべてに当てはまれば制裁対象となる「為替操作国」、二つが該当すると警戒が必要な「監視国」に指定する。
https://mainichi.jp/articles/20211204/k00/00m/020/011000c