産業春秋/「今年の漢字」予想

12月に入ると話題になるのが、恒例の「今年の漢字」。日本漢字能力検定協会が、世相を1字で表す漢字を、一般から募集している。

昨年は新型コロナウイルス感染症の流行を象徴する「密」が選ばれた。より感染者が増えて医療逼迫(ひっぱく)が問題になり、
新規の変異種が発生した今年もコロナ抜きには語れないが、それもうんざりする。できれば違う字が望まれる。

57年ぶりの開催となった東京五輪・パラリンピックの「輪」は最有力候補だ。ただ、この字は2013年の五輪誘致決定で選ばれているし、
開幕直前に関係者の辞任が相次ぎ、人の輪を乱した悪い印象もある。

スポーツ界では、野球の大谷翔平選手、ゴルフの松山英樹選手や笹生優花選手らが大活躍した。将棋の藤井聡太四冠の最年少記録樹立も明るい話題の一つだ。
「明」や「躍」を期待したいが、足元の国内総生産や個人消費の低迷を考えると、そこまでの元気は出ない。

目下の話題は原油や食品などの値上げと、18歳以下への実質10万円給付。どうしてもカネに関心が集まるから、
五輪のメダルラッシュとあわせて「金」が最も支持されるのかも。募集の締め切りは6日。発表は13日、京都・清水寺で行われる。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00620242