前回11月22日配信のコラム「2022年に株価を下げる『6頭の熊たち』に注意せよ」では、「年内にもう少しだけ日米などの株価が上がり、その後来年に落ちるという展望だ」と述べ、2022年に襲いかかってきそうな「6頭の熊たち」(株価下落要因)について触れた。

 一方で、同コラムでは「年内の上昇は確実なものではないし、当面の株価上昇幅もそれほど大きなものではなかろう。とすると、目先の株価上昇をあまり欲張らず、あくまでもいったんの下落相場に向けての『心構え』を、そろそろすべき局面に差し掛かっているのだろう」とも述べた。

この市場の波乱は、世界的に投資家のリスク回避姿勢が強まったことによるものだ。主要国の株価は下振れし、欧米の長期金利は低下、
VIX指数(恐怖指数)など市場の変動を示す数値は急上昇した。為替市場では「リスク回避のための円高」が進行。国際商品市場では多くの商品価格が下落した。

 金が買われてもいい局面のはずだが、金価格に動意は乏しい。これは、投資家が価格変動リスクをあまりにも恐れるあまり、「金ですら買いたくない」という事態に陥ったためだろう

それは、(1)新型コロナウイルスの変異株流行という悪材料からリスク資産が短期的に売られすぎた、(2)来年本格的に生じると見込んでいた中期的な株価下落基調が想定以上に早く始まった、という2つの流れである。

ただ、熊(株価下落要因)が早めに現れ、それによって株価下落基調がすでに始まっているという面もあると考える。どうやら、6つの熊のうち、1番目と3番目の熊の登場がどうも早いようだ。

■2つの「供給サイドの問題」が深刻に

 1番目の熊とは、アメリカでのテーパリング(量的緩和縮小)が、大幅な金融緩和を前提としてきた企業や投資家の行動を逆回転させる、というものだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/06570db11666ee7fce44652ec10db026afbd584d