朝鮮人労働者の歴史焼失、関係者「放火なら残念」 京都・ウトロ地区

京都府警宇治署は6日、同府宇治市の「ウトロ地区」にある空き家に火を付けたとして、奈良県桜井市高田、無職、有本匠吾容疑者(22)を非現住建造物等放火容疑で逮捕した。
同地区は、第二次世界大戦中の飛行場建設工事をきっかけに形成された在日コリアンの集住地域。同署は動機などを調べている。

逮捕容疑は2021年8月30日午後4時ごろ、宇治市伊勢田町ウトロの空き家に放火したとしている。府警は有本容疑者の認否を明らかにしていない。
同署などによると、火は周囲に燃え広がり、空き家と倉庫計5棟が全焼、住宅2棟が半焼した。けが人はなかった。

ウトロ地区には飛行場建設に携わった朝鮮人労働者が集められ、戦後も子孫の在日コリアンらが多く暮らす。
住民らは労働者の宿舎跡の保存や平和祈念館の建設を目指しているが、この火事で、祈念館で展示を予定し、空き家に保管していた生活用品など資料約50点が焼けた。

有本容疑者は10月、名古屋市にある在日本大韓民国民団の施設に火を付けたなどとして器物損壊容疑で愛知県警に逮捕されている。
祈念館の建設にあたる「ウトロ民間基金財団」の関係者は「放火が事実なら、差別が動機の悪質な行為である可能性が高いと考えられる。
歴史を記録する資料が失われ、極めて残念だ。動機も含めてしっかり捜査してほしい」と話した。【千金良航太郎】


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