「なんで牧師のくせにウソをついたんだと、国民は非難轟々です。せっかくウィズコロナ政策が始まったばかりだというのに、彼らのせいでまた逆戻りしてしまったのですから」

 こう語るのは、ソウル市在住の韓国人ジャーナリストである。

 韓国でのオミクロン株の感染拡大は、キリスト教牧師夫妻がついた、たった一つの“ウソ”から始まった。夫妻は11月24日、ナイジェリアから仁川(インチョン)国際空港に帰国。迎えに来た信者の車に乗って帰宅した。だが、帰国翌日に夫妻そろってオミクロン株に感染していることが発覚。すぐさま防疫当局が聞き取り調査に入ったのだが、妻は「防疫対策を施してある専用タクシーを使って帰宅した」と当局にウソをついた。信者にまで迷惑をかけてはいけないという配慮が働いたのだ。

 その後、夫妻の子供も感染が発覚し、すぐさま一家は隔離された。この間、夫妻は、車を運転してくれた信者にも密かに連絡を取り、感染していないか確認していた。信者は念のためPCR検査を受けたが、結果は陰性だったので、黙っていつも通りの生活を続けてしまった。だが、6日後に再検査すると陽性が発覚。この間、周囲にウイルスを撒き散らしてしまったのである。

「信者は感染させた妻とともに、教会で行われた数百人が出席する礼拝にも参加。近所のショッピングモールなどにも普通に出歩いていました。感染者は日に日に拡大し、12人、22人、7日には36人にまで膨れ上がった。当初、感染は教会がある仁川市に限られていましたが、7日にはソウル市内にあるソウル大や韓国外国語大の外国人留学生3人の感染も確認された。学生らは教会を訪れていた信者でした」(同前)

https://news.yahoo.co.jp/articles/8078fe20d2cac6515b160242930387c5c948708f