佐藤 智恵(明治大学 法学部 教授)

近年、国際的に漁業資源保護の意識が高まっています。しかし、漁業規制を定めても各国間で温度差があり、なかなか守られないのが実情です。その中で、EUでは共通漁業政策(CFP)が上手く運用されていると言われます。EUの政策とはどういうもので、それは、なぜ成功しているのでしょう。

◇漁業資源を保護するためには各国の合意が必要

日本人にとって、サンマは秋を代表する味覚のひとつです。ところが、ここ数年、不漁が続いているという報道に触れ、不安に思っている人も多いのではないでしょうか。

不漁の理由は大きくふたつあり、ひとつは、温暖化の影響で海水温が変わり、サンマの回遊ルートが変わったことと言われます。つまり、日本近海にサンマが来なくなったのです。CO2などの温暖化ガスの排出問題は、漁業にも影響を与えているのです。

もうひとつは、サンマの国際的な漁業規制がまとまらず、いわば、獲り放題の状態になっていることです。実際、ここ数年、日本のサンマの漁獲高は減少が著しいのですが、2000年くらいから、中国や台湾は漁獲高を伸ばしているのです。

それは、近海でのサンマ漁が主流の日本と違い、中国や台湾は公海で漁をしているため、サンマの回遊ルートが変わっても、それを追いかけて獲ることができるからです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f7cac6a58e4aafa124ca0a7323ca7a50a7370a3a