北朝鮮による拉致被害者家族会と支援組織「救う会」などは10日、東京・永田町の参院議員会館で、セミナーを開催し、被害者救出の方策など局面打開に向けた取り組みを議論した。

セミナーでは長年、拉致問題に取り組んできた安倍晋三元首相が約25分にわたり講演。「国民が一体となって『拉致被害者を返せ』と強く要求し続けることが最も大事なことだ」と強調。安倍氏は「事件から長い時間が経過する中で問題が風化し、日本人がだんだん興味を失っていくことを彼ら(北朝鮮)は待っている」と指摘し、「日本は絶対に(拉致被害者全員の帰国を)あきらめないという意思を明確に示すことが大変、重要だ」と語った。

パネルディスカッションには、救う会の西岡力(つとむ)会長と、拉致被害者の横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の弟、哲也さん(53)が登壇。西岡氏は、昨今の北朝鮮について「制裁は効いている」と分析し、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記も認めていると指摘。「『先圧力、後交渉』の原則にのっとり、今は北朝鮮とコミュニケーションを取るとき。来年は勝負の年となる」と主張した。

https://www.sankei.com/article/20211210-CEPRNU3HXNJXNGYI2NKNFD6KPY/