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人工肛門になってもバレエもサーフィンも 自分の意思で排泄できない「オストメイト」の日常 「理解してほしいけれど…」複雑な気持ち

■知って欲しい「オストメイト」の生活
バレエの教室に通う、北田まゆみさん(55)
いつもあることを気にしています
【北田まゆみさん】
「動いてないです。いつも通り止まっていますねレッスン中は」
北田さんが“動き”を気にしているのは、お腹についている「ストーマ」といわれる人工肛門。
このストーマをつけている人は“オストメイト”と呼ばれています。
【北田まゆみさん】
「これがストーマ(人工肛門)ですね。腸を外に出して作っています」
すい臓がんを患っている北田さんは、2020年4月、治療中に突然、激しい腹痛に襲われました。
腸が破裂していたことが分かり緊急手術に。
麻酔から目が覚めたらお腹にはストーマがついていました。
【北田まゆみさん】
「えーって、頭真っ白ですね。お腹に袋がぶらさがっているというのと、自分の意思で排泄できなくなるというので、途方に暮れるじゃないですけど、何をどうしたらいいのかわからない状態でショックでしたね」
腸の切除や損傷をして、肛門から排泄することが難しくなった場合、一部をお腹の外に出してストーマを作ります。
そこに袋を取り付け、排泄物が溜まったらトイレに流します。
清潔な状態を保つため、袋は週に2回程度取り換える必要があります。
オストメイトになって約1年半。
北田さんは、排せつ物の処理や、袋の取り換えには慣れてきましたが…
【北田まゆみさん】
「あんまり動いてへんけどちょっと大きくなってます。お手洗いに」
ストーマには筋肉がなく便意を感じることも、自分でコントロールすることもできないため、自分の意思に関係なく排泄が起こります。
【北田まゆみさん】
「ストーマの動きが予測できなくて、(外出時間の)ギリギリで何回も(排泄物を)一旦捨てて。これで大丈夫と思って行こうとしたら動きだしたりとかして」
■“オストメイト”の日常―偏見や困難も…
外出中はさらに大変です。
オストメイト対応のトイレを探さなければなりません。
【北田まゆみさん】
「オストメイト用のトイレは、オストメイトマークが必ずついていて、私たちオストメイトにとってはすごく使いやすくて。ここ(オストメイト対応の便器)で排泄物を出して(便器の横についているシャワーで)きれいにして。この(オストメイト対応の)便器がなくてしようと思うと、距離が遠くなるので、屈んでなるべく近くで(排泄物を)出すか、もしくは普通にトイレするときみたいに座って間をあけて出すか」

2006年に制定されたバリアフリー法では、床面積が2000平方メートルを超える施設など一定の要件を満たす建物を建てる場合、オストメイト対応の設備を多目的トイレなどに作ることが義務付けられています。
しかし、それ以前に作られた建物や小規模の施設では、設置は努力義務にとどまっていて、多目的トイレはあっても、オストメイト対応ではないものも多いのが現状です。
さらに、北田さんが多目的トイレから出てきた時に感じるのは、オストメイトの認知度の低さです。
【北田まゆみさん】
「見た目が車いすとかならわかりやすいけど、障害者ってわからないので、空いているから使ったのかなっていう感じで見られる。次使いたい人にとっては、『なんで使ってるの?』みたいににらまれることは結構あります。オストメイトになったこと自体受け入れるのにも精一杯なのに、そういう態度取られると結構へこみました。その辺は認知度と思いますけどね」
■医師が指摘 誰もが“オストメイト”が身近になる可能性
オストメイトは現在、全国に約21万人いるとされています。
これまで多くのストーマの手術にあたり、啓発活動も行っている十三市民病院の西口幸雄医師は今後、より多くの人にとって身近な課題になると指摘します。
【十三市民病院 西口幸雄院長】
「10人に1人が大腸がんになると言われています、大腸がんの中でも直腸がんが一番多い場所なので、人工肛門の件数は増えてきています。がんや悪性腫瘍で人工肛門作るのは高齢の方が多いが、潰瘍性大腸炎やクローン病とかは、若い方・20代でもたくさんできますので、少しずつ偏見をなくして知識を得ることが大事だと思います」
■“オストメイト”になっても変わらないこと
北田さんは現在もがんの治療中で、通院には毎回、夫の幸利さんが付き添っています。
「いつも二人で前向きにいたい」と、今まで通りの生活ができる方法を一緒に探してきました。土岐麻子-Twilight-