思い入れの強い2万5000字
 国内外、訪れた先で必ず戦争資料館に赴いているという彼は、冒頭でこう綴っている。

《なぜ私が戦争について取材をし、伝えなければならないと思っているのか。それは、私が遺族だからです》

 そう始まった櫻井のレポートは、26歳の若さで戦死した大伯父について多くの証言や資料、写真などを用い、徹底的に調べ上げた内容だ。

 大伯父がどんな覚悟で戦地へ赴き、家族やあったはずの青春に想いをめぐらせ「死にたくない」という恐怖を振り切って戦い、どのように散っていったのかまでを刻銘に書き下ろしている。櫻井が抱いている喪失感は間違いなく遺族のそれと言えるだろう。

 これまでにも櫻井はキャスターとして「戦争」をテーマに多くの取材をしてきた。

 約19万人の日本兵が亡くなった戦地・パプアニューギニアでは“少しでもご遺骨を日本に帰す手伝いができたら”と、這いつくばるように日本兵の遺骨を収集。韓国でも軍事境界線の北緯38度線に赴いたり、ハワイでは真珠湾攻撃について退役米軍兵から当時の話を聞いている