中米ニカラグアが台湾と断交 独裁色強めるオルテガ政権
2021/12/10 14:11米州

【ニューヨーク=平田雄介、北京=三塚聖平】中米ニカラグアの反米左派、オルテガ政権は9日、台湾と断交すると発表した。中国外務省は10日、ニカラグアと国交を回復する共同声明に署名したと発表した。これで台湾と外交関係を持つ国は過去最少の14カ国となった。台湾の蔡英文政権が2016年5月に発足して以降の断交は8カ国目。

ニカラグアのモンカダ外相は記者会見で、「世界には一つの中国のみ存在すると認識する。中華人民共和国が中国の全てを代表する唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の不可分な領土だ」と表明。台湾との「あらゆる連絡や公的な関係を終了する」と述べた。

中国外務省は同日発表の報道官談話で、ニカラグアが「一つの中国」原則を順守し、台湾側と一切の公的な関係や往来を行わないことを約束したとし、「大勢に順応し、民心に合致した正しい選択を行った」と称賛した。中国国営新華社通信によると、中国とニカラグア政府代表団は同日、中国天津市で会談を行った。

ニカラグアは台湾から医療や牧畜などの分野で多額の経済協力や供与を受けてきた。だが、独裁色を強めるオルテガ大統領は欧米からの経済制裁が強化されたことなどを受け、米国への反発を強め、11月、米国主導の米州機構(OAS)からの離脱を発表した。

ニカラグアは1985年に中国と国交を樹立した後、90年に台湾と外交関係を樹立し、中国と断交していた。

ロイター通信によると、台湾の外交部(外務省に相当)はオルテガ政権が「台湾との友好を無視した」と批判。台湾は他国と外交関係を結ぶ権利を持つとした上で「正当な国際的地位を得るため実践的な外交を続ける」とした。
https://www.sankei.com/article/20211210-2JZ567OSXBPSJF2UPAQUE6RFCU/