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昼から深酒してしまう人たち コロナ下、飲酒運転の摘発は減ったが

福岡県では飲酒運転は減っているが、深酒の割合は増えている――。警察庁のまとめで、こんな傾向が浮かび上がった。厳罰化や啓発の効果か、全体の摘発件数は減っているが、高濃度のアルコール分が検出される悪質なケースの割合が増加。アルコール依存症など飲酒量の多い人の存在が影響しているとみられる。
 警察庁によると、全国の昨年の飲酒運転による摘発件数は2万2458件で、年々減少傾向にある。飲酒運転による人身事故の件数も年々減っており、昨年は2522件と2011年の5030件から半減した。

 一方、呼気1リットルあたり0・25ミリグラム以上の高濃度のアルコール分が検出された割合は年々増え、11年は56・4%だったが、昨年は73・0%にのぼった。

 福岡県内も傾向は同じだ。県警によると、11年は検挙した1822件のうち高濃度は968件と全体の53・1%。昨年は全体が1361件と減る一方、高濃度は1089件に増え、割合も80・0%に達した。また、昨年の昼夜別の摘発件数は、午後6時〜翌日午前6時の夜間は849件、午前6時〜午後6時の昼間は423件で、昼間が3分の1を占め、上昇傾向が続いているという。
県警は、昼夜を問わずに飲むアルコール依存症者など、常習者の存在が目立つようになったと分析する。

 飲酒場所は、昨年は飲食店が44・7%、自宅が37・1%。コロナ前の18年はそれぞれ49・6%と33・7%で、自宅の割合が増えたことが分かる。外で飲む機会が減り、自宅でも大量に飲酒する人の存在が目立つ結果になったとみられる。

 県警は「悪質な飲酒運転を徹底して取り締まっていきたい」としている。

日記をつけてみると
 飲酒運転などで運転免許の取り消し処分を受けた人は、道路交通法により、免許を再取得する際に講習が義務づけられている。

 11月中旬、2日間の講習に参加した県内の40代男性は、1カ月前にあった講習以来、飲んだ酒の種類や量を毎日日記につけてきた。普段1日に飲む量は、焼酎を3合ほどと酎ハイやビールを2杯ほど。量を半分にし、週に2日は飲まない日にするとの目標を立てた。

 友人との飲み会があった日は目標量を超えてしまったが、翌日は飲酒を控えるなど調整できたという。講師の伊藤英司さん(57)が「どういう方法で(目標達成)できましたか」と聞くと、男性は「心がけです」。伊藤さんは「目標があれば、やればできるんです」と励ました。

 酒への依存の程度を自覚し、変化を記録することで、「やればできる」と実感できるようになるという。受講生が複数いるときは、互いに検挙されたときの状況や普段の飲酒量などを話し合うこともある。

 県警運転免許試験課によると、県内では昨年146回の講習に計624人が参加。今年は10月末までに144回開き、昨年を上回る670人が参加している。飲酒運転を減らしていくには、常習者への対策が一層重要になる。