大阪高裁は、加茂生コンに対して、組合員の子供が保育所に通うために「就労証明書」を繰り返し要求した行為は
強要未遂に当たらないとして無罪判決を出した。

1審京都地裁はYI執行委員とYD組合員を懲役1年及び8月(各執行猶予3年)としていたが、大阪高裁は、
2人の行為は強要未遂の要件たる「義務のないことを行わせようとした」とは言えないとした。
強要未遂の「義務のないこと」の「義務」とは法律的な義務とまで言える必要はなく、社会的な義務でたり、
そうでなければ刑事罰をもって要求者の権利を一方的に制約することになってしまうとした。
判決は、保育園に通うための就労証明書の発行を社会的義務のあることと認めたのだ。また、2名が、社長代理となった妻が
高血圧緊急症で救急車を呼んだ後も追及を止めたかったことについても、役所に電話をかけて不利になった途端に
病状が急変したことについて、2人が仮病を疑ったと考えることができるとした。

他方、裁判所は、別の組合役員(当時)が乱暴な言葉で社長代理を追求したことについて、YI執行委員については、
それを止めることもなかったと「脅迫」の「共謀共同正犯」として罰金30万円の不当な刑罰を命じた。YD組合員は完全無罪となった。

判決後、YI執行委員はYD組合員の完全無罪を祝福、要求が当たり前の組合活動と認められたことは成果だと話した。
YD組合員は、弁護士にお礼を述べ、逮捕からの3年間をユーモアをもって振り返り、現在裁判中の解雇撤回に決意を語った。

事件を担当した森弁護士は主要な論点を認めさせたと解説し、久堀弁護士は「弁護士をしていて一番嬉しい」と感動的に語った。

http://www.labornetjp.org/news/2021/1639394362725staff01