【小説】坂道で贈られたクリスマスプレゼント #2000字 


渋谷の坂道を上りきるあたりに有名なパスタ店がある。

そこで食事をしている2人の男女は大学生のようだった。
男性は長い足を投げ出して片手をポケットに入れたまま、食事を口に運んでいた。
そんな格好でも育ちの良さが漂っていた。

ふたりの会話がきこえてきた。
とても面白い幸せな会話だったのでそのままお伝えしたい。








「びっくりしたわホント。もし質問に答えていたら全国に私たち、放送されたのかな?」
女性は少し興奮して言った。

「かもね。とつぜんテレビクルーに囲まれたなんて」

「NHKだよ、近いからあそこで拾うのかな。でもさ、あんなにたくさんで大げさに撮影するんだねえ。ライトや反射板でグルリと囲まれちゃったね。」

「ビルの物陰から囲むようにパッと。驚いた驚いた。」
「狙われていたかな? ほかにもたくさんカップルはいたのに。 俺たち目立ってた?変わった格好してないのに」

あの街頭インタビューの撮影は案外大掛かりなのか。

「答えても良かったんじゃない? 好きなクリスマスソングは? というあの質問」

「一瞬そう思って答えかけたんだけど。。。」
彼は困った顔になり言葉が途切れた。

「だけどなに?」

「ダサい曲を言いかけてだまっちゃった。下手すると俺たちそれが全国に流れるわけだ」

「なに?」