経済活動はその担い手である労働力人口に左右される。人口急減・超高齢化に向けた現状のままの流れが継続していくと、労働力人口は2014年6,587万人から2030年5,683万人、2060年には3,795万人へと加速度的に減少していく。総人口に占める労働力人口の割合は、2014年約52%から2060年には約44%に低下することから、働く人よりも支えられる人が多くなる。定常状態に比して労働力人口減が経済にマイナスの負荷をかける状態を「人口オーナス」という。高度成長期において、生産性が上昇していくだけでなく、労働力人口が増加することによって成長率が高まっていく状態(「人口ボーナス」)の反対の状態である。

また、急速な人口減少が、国内市場の縮小をもたらすと、投資先としての魅力を低下させ、更に人々の集積や交流を通じたイノベーションを生じにくくさせることによって、成長力が低下していく。加えて、労働力不足を補うために長時間労働が更に深刻化し、ワーク・ライフ・バランスも改善されず、少子化が更に進行していくという悪循環が生ずるおそれもある。

こうした人口急減・超高齢化による経済へのマイナスの負荷が需要面、供給面の両面で働き合って、マイナスの相乗効果を発揮し、一旦経済規模の縮小が始まると、それが更なる縮小を招くという「縮小スパイラル」に陥るおそれがある。「縮小スパイラル」が強く作用する場合には、国民負担の増大が経済の成長を上回り、実際の国民生活の質や水準を表す一人当たりの実質消費水準が低下し、国民一人一人の豊かさが低下するような事態を招きかねない。

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