赤木俊夫さんを自死で失った妻の雅子さんが、国に真相解明を求めた訴訟は、国の認諾によって突然の幕切れとなった。
雅子さん側は訴訟で、佐川氏や当時の理財局幹部らを証人請求する方針だったが、それもできなくなった。
国が真相解明の機会を閉ざした形だ。

財務省は2018年に調査報告書を公表した。
だが、改ざんを指示した文言や、近畿財務局職員らがどのように反発したのかなどは記されていなかった。
雅子さんは、岸田文雄首相に改ざん問題の再調査を求めたが、岸田首相は「必要ない」との立場だ。

国は今回、俊夫さんが、強く反発したのに改ざんを指示され、自死したことは認めた。
だが、改ざんの具体的な経緯を明らかにしないまま、賠償責任を認めて幕引きを図ろうとする国の姿勢に、雅子さん側が疑問を抱くのは当然だ。
なぜ改ざんをさせられ、自死に追い込まれたのか――。
雅子さんの問いに、国は真摯(しんし)に向き合うべきだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/cd06b6cedf2e215b68558c451d00fda939602836