【独自】「顧客情報流用ない」へ回答変更促す 日本郵便、調査で流用認めた局長に
2021/12/17 6:00

 全国の郵便局長が会社経費で購入されたカレンダーを政治流用した問題に関連し、日本郵便が顧客情報を政治活動に流用した有無を書面調査した際、「はい」と回答した局長に対し、コンプライアンス担当社員が「いいえ」に変更するよう促したケースが複数あることが、関係者への取材で分かった。現場からは「問題を矮小(わいしょう)化するための隠蔽(いんぺい)工作ではないか」との声が出ている。

 書面調査は13〜16日、約1万9千人の全小規模局の局長に質問票を配布して実施。質問は、了解を得ずに顧客情報を支援者名簿に記載したことがあるか▽局舎内で顧客に政治活動への支援を依頼したことがあるか−など6問。「はい」「いいえ」で答える形式で、会社側が回答者を把握できる仕組みになっていたという。

 複数の関係者によると、コンプライアンス担当社員は「はい」と回答した局長に連絡。「誤記入ではないか」「支援者も広い意味では顧客なので、政治活動には当たらない」などと説得し、「いいえ」に変更するよう促したという。西日本新聞は、こうした説得が九州など少なくとも4地方で行われたことを確認した。

 同社は取材に対し「質問の趣旨を正しく理解しているか確認し、誤解があれば回答を修正してもらっている。事実を曲げようという意図は決してない」と説明。ある局長は「結論ありきの調査になっており、会社には自浄能力が失われている」と嘆いた。

 複数の局長は取材に「保険や貯金の顧客情報を支援者リストに書き写したことがある」「来局したお客さんに後援会への加入申込書を記入してもらった」などと証言。ただ、ほとんどは「処分されたくないので、全て『いいえ』と回答した」と話しており、実態を反映した結果が得られない可能性もある。

※略※

https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/848486/