『バーチャファイター2』が変えた格ゲーの歴史とは? 夢と希望が「無限」にあった

青春と共にあった『バーチャファイター2』

1994年11月に稼働が開始された『バーチャファイター2』のことを思い出すとき、同時にさまざまな感情や光景があふれてきます。
今よりも世の中にもっとゲームセンターがあふれていた時代、どこのゲーセンにもずらりと対戦台が並べられ、
その後ろには順番待ちをしている若者が列を作り、自分の番を今か今かと待っていたものです。

当時の筆者は地方在住の格闘ゲーム好きの学生でしたが、少し腕を上げて聖地のひとつ「新宿カーニバルプラザ」に遠征し、
さんざん並んだあげく2ラウンド連続でカゲに押し出された記憶は、今も衝撃と共に脳裏にこびりついています。
あのときはあまりにひどい負け方に屈辱を覚えたものですが、あれから25年以上が経過し、
今では対戦格闘ゲームに青春を捧げた頃の懐かしい記憶となっています。

オンライン対戦が一般化し、多くのゲーセンが姿を消した現在では、タバコの煙が充満し、薄暗い空間に電子音が鳴り響き、
多くの若者の情熱とコインが無限に注ぎ込まれた懐かしい光景を見ることはもうかないません。
あの猥雑な世界にノスタルジーを感じる日が来るなどと、当時はひとかけらも思いませんでした。

あれは、青春だったのです。

それにしても、なぜ『バーチャファイター2』は時代を代表する作品となったのでしょうか。

まず挙げられるのは、当時としては最高峰をさらに上に突き抜けた高精度なグラフィックです。

前作『バーチャファイター』とは比較にならないほど美しく仕上げられたキャラクターが、華麗に素早く自在に動くのは大きな衝撃でした。
当時のゲームセンターに集っていた若者たちは、子供の頃にファミコンに夢中になっていた世代です。
ファミコンのドット絵からたったの10年程度でここまで来たのか。こんなすごいものが世の中に出てきたんだ。
これからはもっとすごい物が見られるんじゃないか。そんな夢と希望を無限に持てた時代でもあったのです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/419b1c2e1ea511293da606913ca7668cf072a1c4