簡単にたどり着けない北の大地の無人駅、集まったのは「鉄道好きのぶっ飛んだ」サンタ

 北海道幌延町の無人駅、JR宗谷線糠南駅で18〜19日に開かれたクリスマスパーティー、通称「糠南クリパ」。2015年に栃木県足利市の公務員杉戸政徳さん(35)が企画し、全国から鉄道ファンが集うようになった。鉄道については素人の記者(25)が参加してみると、熱狂的な鉄道愛と、それを支える地域のぬくもりが見えてきた。

 クリパの集合開始は18日午後0時11分着、稚内発名寄行き普通列車のはずだが、糠南駅に降り立ったのは1人だけ。記録的な大雪でダイヤが乱れ、大半の参加者は間に合わなかったようだ。2時間遅れで到着した杉戸さんは、「そう簡単にたどり着けないのがいいんです」と笑うと、三々五々集まったメンバーと恒例の「前夜祭」に向かった。

 会場は、駅がある同町問寒別の酪農家が自宅脇の別邸を厚意で貸してくれた。参加者は20〜50歳代の約40人で、7割は京都や宮城など道外からだ。大半は駅巡りが趣味の常連だが、「勇気を出して一歩踏み出した」という新顔も。「秘境駅の里」をPRする同町主催のツアーでクリパを知った人もいた。

 自己紹介ではそれぞれが、日頃、鉄道情報を共有するツイッターの登録名を明かし、「あーあの人だ」「いつも見てる」などの声が上がった。鉄道談議では、道内全駅で下車した猛者がいたり、3月で廃駅になった同線安牛駅の「最後の乗客だ」という人がいたり。全7回に参加した愛知県豊田市の会社員男性(28)は、「一風変わった鉄道ファンを受け入れる温かさがあり、居心地がいい」と満足そうだ。
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