東京五輪・パラの成功アピール 経費の倍増、森前会長の女性蔑視発言などへの検証・考察はなし 組織委報告書

22日に行われた、東京五輪・パラリンピックの組織委理事会で提出された報告書は670ページ。
大会開催が新型コロナの市中感染拡大に影響しなかったことや、熱中症になった選手・スタッフは280人いたが重症者は少なかったなどとして、大会の成功ぶりをアピールしている。

一方、招致時から約2倍となった開催経費の膨張についての検証はされていない。
また、女性蔑視の発言をした森喜朗前会長らの辞任など、相次いだ不祥事に対する考察もなかった。

厳しい意見は、スポンサー企業から寄せられている。報告書に盛り込まれた82社へのアンケート結果には、「感動的な瞬間を世界中に届けることができた」などの好意的な声もあるが、苦言が多い。
経費面では、「招致計画よりも開催費用が増額していることに対し、国民に分かりやすく説明責任を果たすことが必要だ」
「観客の有無が不透明で、無駄となったコストが多く発生した」「大会直前の無観客開催決定により多額のキャンセル費用が発生した」などの記述が並んだ。

ほか、「開催意義について納得のある説明が国民にされなかった」「人権やジェンダーにかかわる問題が残念」などの指摘があった。
そうした意見に対する組織委の見解は記されていない。報告書はホームページなどで公開される予定。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/150515