ビジュアルデザインスタジオ「WOW」が検証! 新次元の性能を持つMacBook Proの破壊力

Appleの「MacBook Pro」が新しくなった。最新のM1 ProおよびM1 Maxプロセッサを搭載し、他を寄せ付けない世界最高クラスの性能を実現したノートPCだ。デザインも一新されたその製品の魅力を余すところなく伝えたいが、ちょっとした写真のレタッチなどであればM1 Proですらなく、通常のM1でも快適にこなせてしまう。

M1 ProやM1 Maxの進化を本当に理解するためには、日々、大量の映像編集や3D CG作りをしている映像のプロフェッショナルのような人が必要で、そうでない人間がベンチマークテストプログラムだけを使って製品評価をするのには無理があると思っていた。



 そこで、創業間もなくから親しくさせてもらっている日本を代表する映像集団「WOW」の代表、高橋裕士さんに、日本に入ってきたM1 Maxに64GBのメモリと8TBのSSDを積んだ最高スペックモデルを検証してもらった。

 かつてMacを使っていた時期もあるが、現在はWindow PCで3D CG作りをしている。すっかりMacからWindowsに転向した大賀さんは「MacBook Proのダメなところを暴いてみせます」と息巻きながらこのレビューに臨んだという。

 大賀さんの一言目は「思ったよりも使える」だった。Appleが「怪力」とうたう性能に対しての感想にしては控えめで、最初驚いたが、その後の言葉を聞いて、胸をなで下ろした。

 「悪いところを見つけようと頑張ったんですが、ノートPCのクセに思いの外できる」。詳しく聞くと、大賀さんが比較していた対象は普段仕事に使っているWindowsのハイパフォーマンスモデルだ。AMDの32コアCPU(Ryzen Threadripper)を搭載し、GPUはNVIDIAのGeForce RTX 2080 Tiを装備したデスクトップPCは、巨大なタワー型で価格も150万円を大きく上回っている。

 MacBook Proは、その高価で巨大なハイパフォーマンスPCと比較しても、十分に健闘していたのだという。

 「3Dの作業が多いので、3Dの比較をメインに行ったところ、普段Windowsを使っているものと比べても、作業の効率はほぼ変わらない」のだという。

 「一番ビックリしたのは、3Dでよく行われるシミュレーションの処理で、これに関してはM1 Maxの方が速かった」とのこと。正確な計測は行っていないが、体感で20%ほど速かったという。

 ちなみに、3Dグラフィックスに詳しくない人のために解説すると、現在、3DレンダリングにはCPUを使って行うCPUレンダリングとグラフィックスカードを使って行うGPUレンダリングの2つの方法があり、大賀さんはGPUレンダーを利用している。

 しかし、大賀さんはMAXON ComputerのCinebench R23を使ってCPU性能に関する検証もしっかり実施していた。「CPUコア1個当たりの性能だと、我々が使っているハイパフォーマンスPCよりも性能が高い。ただし、コア数が10コアと少ないので、CPU全体の性能としては、さすがに32コアのWindows PCには及ばない」結果だったとのことだ


 高橋代表も、大賀さんも、今回のMacBook Proに触れてみて「ノートPCでこれだけの性能が出るなら、デスクトップ型ではどこまで性能が出るのか」と、次のMac Proへの大きな期待を示していた。

 既に現在のMacBook Proでも、従来のMac ProにAfterburnerというアクセラレーターカードの組み合わせを性能面で超えてしまったというのだから、確かに楽しみでならない。

 ただ、そうやって出てきた次のMac Proで、ぜひともAppleに実現してほしいリクエストもあるそうだ。Windows PCでは、メーカーにもよるが、作業中にマシンが故障した際、メーカーが代替機を持って交換修理に来てくれるが、Apple製品の場合は故障機を持ってジーニアスバーに出向かなければならず、これがプロの現場でのMac Proを採用しにくくする一因となっている。「ぜひ、その点については対策を考えてほしい」と高橋代表は語る。

ちなみに高橋代表自身も、既に自分用に1台を発注したところだとのこと。

https://www.itmedia.co.jp/pcuser/amp/2112/20/news044.html