「街の書店が消えてゆく」…書店をめぐる状況は今、とても深刻だ

発売中の月刊『創』(つくる)2021年12月号の特集は「街の書店が消えてゆく」。出版関係者などよく読んでくれて
反響も大きいのだが、この問題、とても深刻なので少しでも多くの方に知ってもらいたいと、ここに一文をしたためることにした。

『創』編集部周辺にもついに書店が皆無に
例えば『創』編集部のある四谷の最寄りの書店「あおい書店四谷三丁目店」が9月に閉店した。
もともと四谷駅前には2件の書店があったのだが、いずれも閉店。本を買う時には「あおい書店四谷三丁目店」にまで
足を運んでいたのだが、それもついに閉店になり、これで近くにもう書店がなくなってしまった。

何年か前、書店のない街が増えていると新聞が報じて話題になったことがあったが、事態はその後も加速度的に進行している。
編集部にもこの何年か、「近くに書店がないのですが、どこで本を買えばいいですか」という問いあわせがとても増えた。
ネットを使っていない人はアマゾンも使えず、本を買うこと自体が困難になっているのだ。

確かに今はネット書店で本を買う人が増えたのだが、書店にはネット書店にない大きな楽しみがあった。
新刊コーナーでどんな本が発売されたか見たり、ノンフィクションの棚を覗いたり、
雑誌もいまどんな特集をやっているのか店頭を見るのが楽しみだったし、出版界の動きも知ることができた。
いわば本や雑誌との新しい出会いが書店にはあったのだ。

それがなくなってネット書店で指名買いしかできなくなってしまうことはとても大きな出来事だ。

全国の書店数はピーク時の3分の1に
以前は全国の書店の減少数については、アルメディアという会社のデータを業界では使っていたが、
いまはそういうデータが発表されていないので正確な数字はわからない。
しかし実感として、今までよく行っていた書店が姿を消すという体験がこの何年か続いている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20211204-00271183