経産省が「もっと数学を!」と言いたくなるほど、日本のデジタル力は振るわない。コロナ禍で「デジタル敗戦」と呼ばれ、世界との競争力も低下の一途をたどっている。

今年9月にスイスのビジネススクール「IMD」が公表した2021年の「世界デジタル競争力ランキング」によれば、日本の総合順位は28位で、18年以降、右肩下がりが続いている。1位は米国だが、日本は韓国(12位)、中国(15位)、マレーシア(27位)などよりも低い。

(中略)

戦後、日本は「文高理低」とでも言えそうな組織文化をはぐくんできた。法学部、経済学部など文系出身者は、会社でも霞が関の官庁でも出世していくが、理系出身者はそうではなかった。

「理系は専門知識があり論理的だが、社会性が不足している」とか、「文系は柔軟で付き合いやすく、マネジメントができる」などといった、高度成長期や年功序列時代の価値観や固定観念が今も残る。

理系は大学院へ進学する人が多いが、日本では博士課程出身者の就職率が低いという問題もある。大学教員のような安定したポストに就けるのは一握り。企業へ就職したくても、企業は博士課程出身者を「年を食っていて、使いにくい」と、採用したがらない。

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