――会社員としてお勤めだった40歳の時に、若年性認知症と診断されたとうかがいました。「記憶が失われている」と最初に気づいたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか

本当に突然だったのですが、朝起きると、自分はなんの仕事をしているか、どこで働いているのか、どんな人たちと働いていたかといった、「仕事」に関する記憶が一切なくなっていたんです。
それは仕事が休みの日だったのですが、休み明けに周囲に相談したところ「病院に行った方がいい」と言われて。同時に、周囲からは「物忘れもあったし、前々から少しおかしいなと思っていた」とも言われました。

最初に行った病院では、「長谷川式簡易知能評価スケール」で検査を受け、そこでは「おそらく認知症だと思うけれど、詳しい検査はできない」と言われました。
紹介状を書いてもらい、検査設備が整っていると言われる北里大学メディカルセンター(埼玉県北本市)で詳しく検査をしてみることになりました。

――記憶がなくなっている、とわかった時は、どのような気持ちでしたか

すごくびっくりしました。焦りましたね。それから、部屋にあった仕事の資料などを見ては「そうか、こんな仕事をしていたんだ」と、少しずつ思い出していった感じです。
認知症にはお年寄りがなるイメージがありましたので、「信じられない」という思いもありました。だって、まだピチピチの40代ですよ(笑)。「それは違うんじゃないか」という気持ちもありました。

北里大学メディカルセンターではMRIにも入り、そこで側頭部から後頭部にかけて血が流れていない、ということもわかりました。脳波もいわゆる波形を描いていなくて、横一線にまっすぐに伸びている。
そこでも記憶力のテストをしたのですが、なかなか質問に答えられなくて。「若年性認知症」と診断されました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/515ca36d1d85e23e96e6df09698a90831d6839c2