運転免許証の写真は、道路交通法施行規則で「正面向き」「6か月以内に背景なしで撮影」などと定められている。大きさは縦3センチ、横2・4センチ。個人を容易に識別できることが前提で、各都道府県警が具体的な基準を設けている。

 だが、一部の警察では、顔がはっきり写っていても、写真の中心がずれていたり、背景に影があったりした場合などに使用を認めていなかった。ドライバーから「基準が厳しすぎる」「撮り直しの負担が重い」などの声が後を絶たず、警察庁が今年9月、全国の警察に運用の見直しを求めた。

 警視庁は翌10月、22項目の基準を変更。笑顔やカラーコンタクトレンズのほか、色の薄いサングラスやイヤホン着用などを認めた。プリントシールや記念写真を切り取ったものの持ち込みも認めることにした。東京都内の運転免許試験場にポスターを掲示するなどして周知を進めており、警視庁幹部は「ルールの範囲内で好きな写真を使ってほしい」と話す。

 大阪府警も9月から、笑顔やヘアバンドのほか、首元の衣服が写っておらず裸にも見える写真を容認。愛知県警は、病気などで髪が抜けた人は「かつらやウィッグ(つけ毛)でも構わない」と例示し、福岡県警も帽子着用などの条件に「宗教上の理由」を追加するなど基準を明確化した。

 運転免許証は日常的に本人確認などに使用され、他人に見せる機会も多い。今月20日、都内の免許センターを訪れた港区の大学生(22)はカラーコンタクトレンズを着けたまま写真撮影。「普段通りの自分の写真を使えて良かった」と喜んでいた。

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