政府は27日、中小企業がエネルギー価格や原材料価格の上昇といったコスト増を販売価格に転嫁しやすくするための対策を取りまとめた。著しい安値での納入を強いる「買いたたき」を防ぐため、元請け企業側への立ち入り調査を強化するほか、価格転嫁に応じる企業が優遇される政府の補助金について、種類を拡大する。

 岸田首相は同日、経団連の十倉雅和会長ら経済団体や業界団体トップとの会合で、「地域の雇用を支える中小企業が適切に価格転嫁を行い、適正な利益を得られるよう、環境整備を行っていく」と述べた。

 対策では、毎年1〜3月を「集中取り組み期間」に設定。買いたたきが発生していると見込まれる業種を毎年三つ指定し、公正取引委員会などが重点的に立ち入り調査を行う。再発防止が不十分な元請け企業に対しては、取締役会での決議を経た改善報告書の提出を求める。

 買いたたきなどの違反行為について、ネットを通じた情報提供も呼びかける。違法行為が目立つ業種には業界団体を通じ、傘下企業の自主点検を要請する。

 転嫁対策はこれまで経済産業省と公取委を中心に行ってきたが、新たな対策では省庁横断での対応を明確にする。価格転嫁に応じると宣言した企業には、省エネにつながる投資への補助金など、経産省関係の補助金を受給しやすくしてきたが、こうした優遇措置の対象を全省庁の補助金に広げることを検討する。

 また、国土交通省は、ピラミッド型に下請け業者が連なる多重下請けが常態化し、実態が不透明な請負契約の温床になっていると指摘されるトラックや海運などの業界に対し、是正に向けた呼びかけを強める。
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