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偽装結婚で女性を確保

今残っているフィリピンパブの多くは、興行ビザ規制以前に入国し、その後日本に定住しているフィリピン女性を雇っている。しかし、新たに若い女性を入れなければ、ホステスが高齢化していく。そこで一部のフィリピンパブのオーナーやブローカーは若いフィリピン女性を確保する手段として、日本人男性と結婚をさせて、就労制限のない「日本人の配偶者等」の在留資格を取得させるようになった。こうして、フィリピン女性が偽装結婚して日本に来る流れができた。

彼女たちは日本に来るために、ブローカーと契約を交わす。契約内容はブローカーによって異なるが、多くの場合、期間は3〜5年。給料は月6万円(1年ごとに1万円ずつ上がる)。休みは月2回。同じ店で働くフィリピン人ホステス同士でも、ブローカーとの間に契約があるホステスと、ブローカーとの間に契約のないホステスの待遇の差は歴然だ。契約のあるホステスは「タレント」などと呼ばれ、契約のないホステスは「フリー」などと呼ばれる。

タレントには売り上げノルマやペナルティーが課せられる。店が指定した日に指名客がいなければ5000円罰金。店外デートである同伴をしなければ5000円罰金。ひどいブローカーになると毎週、体重測定を行い、体重が増えると罰金を科す。少ない給料で働く彼女たちにとって、ペナルティーが増えると給料がもらえないどころか、借金を背負わされることもある。

日本で住む場所も決められる。狭く、古いアパートにフィリピン女性たちが2、3人で共同生活することが多いが、中には偽装結婚摘発対策として、偽装結婚相手と一緒に住まわせられることもある。当然、拒否することはできず、見知らぬ「夫」と一緒に住まなければならない。外出は禁止され、店と家の間は車で送迎。家にいるか確認するために、突然ブローカーがやって来る。

フィリピンパブの給与システムは、売り上げに応じて、日給月給が変動する店が多い。フリーのホステスなら月平均30万円ほど稼ぐが、タレントは売り上げを多く上げても給料は契約で決められた固定給だ。