【モスクワ=田村雄】ロシア最高裁判所は28日、ソ連時代の弾圧を記録し、国際的な評価の高い人権団体「メモリアル」に解散を命じた。団体はプーチン露政権による人権抑圧も批判の対象としてきた。異論を排除する司法判断に、批判の声が上がっている。

解散は今年11月、検察当局が要請し、最高裁は検察側の主張を支持した。

 検察側は審理で、「不確かな証拠で政治弾圧を描き、ソ連がテロ国家だという誤ったイメージを作っている」などと主張した。

 プーチン政権は、第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利したソ連について、批判的な言動を容認しない姿勢を強めている。

 解散命令を受け、メモリアルは声明を発表し「我が国は未来のためにも、ソ連の過去と誠実に向き合う必要がある。法的な解散命令で、この課題が消えると考えるのは愚かだ」と批判し、異議を申し立てる方針を明らかにした。

 メモリアルはソ連末期の1987年に母体となる団体が活動を開始した。ソ連の独裁体制と戦って75年にノーベル平和賞を受賞したアンドレイ・サハロフ博士も創設に関わった。

 米国のジョン・サリバン駐露大使は28日、解散命令に関し「表現の自由を抑圧し、歴史を抹消しようとする露骨で悲しい試みだ」とコメントした
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