10万円「もらいたかったよ…」師走、炊き出しに並んだ男性の思い
12/31(金) 8:00

18歳以下の子どもへの10万円給付が大阪市などで始まっている。合わせて生活が苦しい世帯向けの10万円給付も行われる。一方で、その日の食べ物にも困っているのに10万円が届かない人たちがいる。

12月22日午前10時半ごろ、大阪市北区の中之島公園の一角に60人ほどの列ができていた。パンやインスタントラーメン、弁当といった食料品を、スタッフがポリ袋に詰めて渡していく。気温は約10度、手がかじかむ寒さだった。

大阪北教会は月2回、炊き出しを行っている。65歳の男性は配られたコーヒーを飲んで一息ついた。「心も体も温まる食事は本当にありがたい。2、3日はしのげる」。硬い表情が少しだけ緩んだ。

路上生活を送るようになって1年が経つ。福岡県の倉庫で荷物の積み下ろしのパートの仕事をしていたが、コロナ禍で収入は激減。職を探しに大阪に出てきたが、「甘かった」。キャリーバッグを引っ張り、リュックを背負い、手提げカバンを持って、炊き出しに足を運んで飢えをしのぐ。ラジオを聴くことがささやかな楽しみだ。

生活が苦しい人への10万円給付の制度は生活保護の受給者は対象だが、男性は親戚に知られるのが嫌で申請しておらず、住所もない。「もらえるなら、もらいたかったよ」。内閣府によると、支給には住民登録が必要だという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f43973a93f28e1ae8e5509037d96bbd801409ec2